挨拶で「今日はお天気で良かったですね」落語の「今日は寒いのう、山は雪だんべー」等は日常の生活習慣である。また、細やかな気象変化は豊かな日本の文化を育んできた。さらに、万葉集や古文書、そして百人一首等に気象に関わる記述が多いと云う。明治時代以降、東京気象台以外に旧日本軍、満州国、南洋庁の気象観測、商船の船上気象観測等様々な組織が1945年8月まで続いた。終戦によってそれらの組織が解体され、同時にそれまでの気象業務も消滅した。戦後も一部継続された業務もあるがその数は少ない。戦時下という特殊性のために気象業務も組織の行動等に資することが目的で国?の社会活動に供すことは少なかったと思う。もともと気象情報は戦略情報であり、現在も国によるが容易に公開されるものではない。古くから生活の中に生かされた経験等の積み重ねと、これらの時代を経て近代気象学は成り立っている。現在の気象観測は、先人の残した古典的なものから、近年の最先端の技術を駆使したひまわり等の気象衛星迄、極めて幅広い技術に支えられている。今回、ニューズレターの記事を担当することになり、史実や経験を基本に記載するものの、調査確認が不十分な点はご容赦ください。

 次回は明治以前の話題を紹介したい。

Mest 渡邉好弘