気象は社会活動の中で身近な自然現象であり、気象現象を扱う気象学の歴史は紀元前まで遡る。気象現象を社会活動に役立たせるために、当初はヒトの五感に頼り情報を得ていたが、15世紀頃から理論や技術の発達に伴い、その理論を証明するための試行錯誤や実験等が行われ、様々な気象観測機器が生まれた。例えば、気圧計はイタリアのトリチェリが真空発見時に水銀を使用した道具の原理を応用し、後に水銀気圧計が誕生した。気象現象を有効に利用するには、その実態を把握することが不可欠で、必然的に気象観測が重要となる。気象観測機器は、西欧での物理学や気象学の発達に伴って発明され、機器を利用した気象観測へと、徐々に変貌したものと思われる。広域で観測結果を相互利用するとなれば各所の観測の信頼度が重要となる。中でも雨量観測は古く、インド北部のヒマラヤ南麓で紀元前四世紀の観測事例が報告されている。広域かつ長期間の雨量観測は、1442年に朝鮮半島の測雨器を用いた事例かも知れない。1879年、各国の気象台長は統一ルール確立のためローマに国際気象機関(IMO)を設立したが、1940年代末解消し、その後、1950年設立の世界気象機関(WMO)が業務を引継いでいる。WMO参加の各国は、WMOの勧告に基づき気象業務を行っている。民間も観測手法・結果の信頼性等を担保するため勧告を参考にする必要がある。

 次回以降も気象観測について紹介の予定。

 Mest 渡邉好弘